闇をさいて走れ 時をこえて走れ
「ぞうれっしゃがやってきた」という作品をご存知ですか?
絵本、アニメ、演劇、テレビの特集など、様々なメディアで紹介されている
お話しで、合唱曲もあります。
名古屋市の東山動物園が太平洋戦争の戦時猛獣処分を何とか躱していた戦中。
その結果、日本で唯一の象のいる動物園となった戦後。
そこかしこにまだ戦争の傷跡が残る日本各地から名古屋へと走った特別列車で、
象に会いたい子供たちを東山動物園に連れていくためのものです。
悲しいかな、かろうじて戦争を生き延びた当時の象には、
電車に乗って出張できるほどの体力はなく、
「じゃあ子どもたちを連れて行こう!」という発想のもと動き始めた計画でした。
戦中戦後という、人間ですら生き抜くのが過酷な時代に象を守りぬいた
動物園の知恵と苦労を軸に物語が進みます。
厳しい時代のなか、象を生き残らせる為に動物園が行った様々な行為を、
軍規違反を承知の上で黙認し、時には陰ながら助けることすらあった将校もいます。
そして、子供たちを象に会わせてやりたいと奔走する大人たちもいます。
本当のところはきれいごとばかりではなかったかもしれませんが、
それを割引いても、希望や目的を見失わないことは大事なんだと
思い出させてくれる作品だと思います。
機会があればぜひいかがでしょうか。